京都、嵐山旅館の若旦那は記憶喪失彼女を溺愛したい。

☆☆☆

純一の言っていたカフェがいわゆるコラボカフェと呼ばれるもので、人気マンガやアニメとのコラボ商品がメニューに記載されていた。


「ここ、さっき買っていた漫画のカフェなんですね」


「そうなんです。僕のおすすめは主人公をモチーフにしたエナジーパフェです」


エナジーパフェとは元気が出そうな食べ物だ。


純一に進められるがままにそれを注文すると、一人前で2人分のパフェが届いて目を丸くした。


「僕も一緒に食べますから」


春菜の反応を見て笑いながらパフェスプーンで上のアイスを取っていく。


春菜もアイスをすくって一口食べるとさっぱりした甘みが口いっぱいに広がっていった。


熱気で蒸された体がスッキリしていくのを感じる。


アイスの横に乗っていたクッキーには主人公の顔が印刷されていて、純一はそれを大事そうに少しずつ食べていた。


それから三宮を歩いて散策し、帰りの電車に乗り込んだ。


純一の足元には漫画のグッズの入った袋がドカッと陣取っていて、なんだか少し窮屈そうみ見える。


だけど純一の表情はとても満足そうだ。