☆☆☆

本当に、優しすぎるのは困りものだよ。


部屋に戻った春菜は布団に潜り込んで身を縮めた。


何度別のことを考えても、眠ろうと目を閉じても蘇ってくるのは純一の優しい笑顔と手のぬくもりばかり。


思い出すたびに眠気は遠ざかって行き、何度もため息を吐き出す。


自分には記憶がない。


だから純一の優しさがこれほどまで心の響いているのだ。


自分自身にそう言い聞かせてみても、この気持は簡単に止めることはできなさそうなのだった。