京都、嵐山旅館の若旦那は記憶喪失彼女を溺愛したい。

ウィンドー越しに見たこのワンピースは照明に照らされてとても素敵に見えたのだ。


友人からは喪服みたいとか、魔女みたいとからかわれたけれど春菜のお気に入りの一着でその年はよく着たものだった。


だけどだんだん仕事にも慣れてきてお金にも困らなくなってきたら、次々と欲しい服を購入してこのワンピースは着なくなってしまったのだ。


友人から不評だったこともあって、本当に喪服や魔女みたいだと思ってクローゼットの奥にしまってしまった。


『懐かしい』


ワンピースを着てみて呟く。


黒いワンピースは相変わらず春菜の目にはとてもかわいく魅力的に写った。


真っ黒だけれどよく見れば生地にラメが入っていてキラキラと輝いているし、大胆なVネックは人目をひく。


春菜は鏡の前でクルリと回ってみた。


柔らかな素材のワンピースはフワリと風に膨らんで、まるでドレスみたいだ。


春菜の胸がとくんっと跳ねた。


昔からお姫様のドレスや発表会などで着るドレスが好きだった。


いつか自分も着てみたいと願っていた。


それは今も変わらない。