「ケビン「あるよ、心当たり」」

わたしの声に被せるようにそう言ったケビン。

「そ、そっか。わたし会ったことある人?いまいちピンときてなくて」


ほんとに誰だろう?


「紗良も知ってる人だよ」

「え、誰?」

「それは言えない。てか、言わないように向こうから言われてる」

「え?…」

何それ…


どういう意味?

久しぶりに飲んだお酒のせいか、頭が回ってくれない。

ケビンの言った意味がわからない、考えられない。


「紗良…」

気づくと、わたしの部屋の前まで来ていた。

「ど、どうしたの?あ、寄って行く?」


って、それはダメ、か。

ついこれまでの癖で言ってしまった。


もう気をつけないと。


「っ……今日は帰るよ。おやすみ」

何か言いかけたように感じたけど、気のせいだったかな?