8月25日(後編)

天宮さんは自分の隣をポンポンと叩くと視線をあげた。

その視線と絡むと、優しく微笑まれる。


その笑みを見た瞬間ホッと胸を撫でおろした。

てっきり説教をくらうのかと恐れていたから。

「最近の夏目、元気ないみたいだけど?」


隣に腰をおろしたと同時に天宮さんの声が聞こえた。


「元気はあります」

なんて返事をしてみる。

「そう?じゃ、わたしの勘違いだったのかな」

「勘違い…?」

「んーなんていうか〜…ここに面接受けにきた時の夏目と、今の夏目は別人っぽい気がして」


別人…


「初めて雑誌を見た時の感動を熱く語ってくれたよね、夏目」

「はい…」

「あの熱意が今の夏目からは感じられない」

そう言った天宮さんにドキッとする。


だって熱意なんて…

今のわたしには全くない。


正直、あの頃のわたしは考えが甘かったと思う。


雑誌の編集という仕事は、もっとキラキラしていると思っていたし、好きでいれる仕事だと思っていた。