8月25日(後編)

30代前半という若さで二つの部署を掛け持っていて、それでもって編集長。

そんな天宮さんを目指している人は多い。

もちろんわたしもそのうちの1人……


と言いたいところだけど、天宮さんを見ている限り、とてもわたしには目指せる人ではない。


「ここにイラスト入れようと思ってるから、イラストレーターにアポ取ってくれる?それから先週頼んでおいた企画考えてくれた?」

と天宮さんの瞳とぶつかる。

「あ、えっと、企画のほうはまだ…すみません」

こうして朝から頭を下げるのは、もう数えきれないほど。


なんならわたしの1日はこれから始まっているかもしれない。


「そんなことだろうと思ってた。夏目、企画考える気あるの?」

「それは…っ」

もちろんです!なんて言えない…情けない。


「今週いっぱいまで時間あげるから、しっかり考えなさい。やる気がない人間はこの会社には必要ないってこと、忘れないように」

「…はい。失礼します」


少し頭を下げ、デスクに戻るとため息がこぼれた。

「まーた朝から言われてたね」

隣のデスクから聞こえた声にため息がもう一度こぼれる。