8月25日(後編)

信号が青になったと同時に、わたしの足は勝手に動いていた。

不思議なことに両手いっぱいの買い物袋が重いと感じない。


そんなことより、さっきの人を…!

歩いて行ったほうへと走る…

とにかく走った。


こんなに走ったのはほんとに久しぶりだ。

なんなら高校の時以来かも。


そんなことを思いながら汗だくで走った。

だけど、どれだけ探しても、さっき人を見つけることはできなかった。


「はぁ、はぁ…っ…」

気づくと住宅街まで来ていた。

「わたし何してるんだろ…」

そう思った瞬間からドッと買い物袋が重くなる。


ほんと…何してるんだろ…

いるはずないのに…


慧くんはいないはずなのに。

バカみたい。

単なる見間違いってやつ。


なのにこんな全力で走り回るなんて…。


だけど…慧くんに見えた。