8月25日(後編)

「それはケビンもでしょ?」

なんて言い返してみる。

「僕には遊んでる子がたくさんいるからいいんだよ。紗良はそういう人さえいないでしょ?」

「遊ぶ相手はいらないからいいの」


この3年間、誕生日を迎えるごとに言ってきた。

『来年の誕生日までには彼氏を作る』と。


でも、有言実行できた誕生日なんて一度もない。


「紗良が彼氏作らないと、僕も彼女作れない」

ケビンは毎回そう言う。

「ケビンは彼女作っていいんだよ?わたしのことなんて気にしないでさ」

「でも、そうなると紗良が1人になるでしょ?」


そう言って向けられる視線が悲しそうだから困る。

1人…

そんなの、もうとっくに慣れてるよ。

わたしはいつだって1人みたいなものだし。


「紗良は幸せになってくれないと困る」

「…ケビン…ありがとう」

でも、それはわたしも同じ。


ケビンも幸せになってくれないと困る。

こうしてわたしと関わることがなかったら、今頃誰よりも幸せになっていたと思うから。