歩きながらそう尋ねてきたケビンに笑顔を返す。


「感動したし、すっごくよかった!結婚したくなっちゃった」

「結婚?じゃ〜僕のお嫁さんになる?」

「ならないよ〜ケビンのお嫁さんだけは絶対」


そう言いきると、ケビンは拗ねたようにそっぽを向いた。

そんなケビンの態度は毎回のことだから気にしない。


それにしても、ここ数年でケビンの日本語はかなり上達したように思う。

幼少期から日本と海外の行き来をしていたケビンは日本語が苦手だと言っていたけど、今では苦手と思えないほど上手だ。


そんなケビンとわたしの関係…


それはどうなるんだろう?

友達…いや、親友に近い…?

友達以上恋人未満。


この言葉が一番しっくりくるかもしれない。


どうしてケビンとここまで仲良くなったのか…

それは専門学校を卒業して夢みていた一人暮らしで借りた5階建てのアパートに引っ越した日のこと。

ある程度の荷物を運びこみ、一息つくために外に出ようとしたエントランスで偶然会ったのだ。