「あ〜うん…せっかくだけど、用事があるから」

「もしかして彼氏〜?」


ニヤニヤしながら顔を覗きこんでくる麻美に頭を振る。

「そんなんじゃないけど、大切な人、かな」

「ふ〜ん?とりあえず、落ち着いたらまたゆっくりご飯でも行こ?」

「うん。そうだね」


と笑顔を向けると、式場のスタッフに呼ばれて麻美は部屋を出て行った。

「大切な人、か…」

さっき、不意に出た言葉を復唱する。


まぁ、大切な人といえば、大切な人になるのかな?

そんなことを思うとフッと笑いが出た。



それから麻美の式を堪能して、式場を後にした。

「あ、紗良!」

待ち合わせの場所に向かうと、すでに彼の姿が。


「ケビン、お待たせ」

「今日の紗良は一段とセクシーだね」

とわたしの姿を見つめながら、変な視線を向けてくるケビンを睨む。


「友達の結婚式はどうだった?」