8月25日(後編)

小夏が想像する以上に、慧くんはかっこいいよ、と。


南が言っていたように、わたしも慧くんを越えるイケメンは未だに知らないから。

それに、外国に行った慧くんは、もっと垢抜けたはず。


そう考えると、もうわたしの手が届くような存在ではないだろう。

だってわたしは…

あの頃と何も変わっていない。


見た目は変わったとしても、中身はあの頃のまま。

これっぽっちも強くなれていない。

慧くんのことを思い出さないようにしていたのが何よりの証拠。


「そろそろ行こっか」

と腰をあげた南に続く。

時間を見ると、あと10分で講義が始まる。


「行きたくないな〜」

そんなことを言いながら立ち上がる小夏を横目に、もう一度彼に視線を向ける。


やっぱり彼もわたしを見ていたようで、一瞬だけ瞳が絡むと、すぐに俯かれた。

ほんとに不思議な人。