「だから、受け取ってやって?」

と言った平野くんから視線を再びボタンに落とす。


「…ありがとう…大事にする」

慧くんからの第二ボタンをギュッと握りしめると、涙があふれていく。

「受験の合格、おめでとうって言ってたよ」


なんでそれを今言うかな…

もう涙止まらないよ。


「向こうで慧も頑張るみたいだからさ、夏目さんも頑張って」

「…うん…そう、だねっ」

頑張る…頑張るよ。


だから、慧くんも頑張ってね!


「じゃ、俺はここで。またみんなで集まろう」

「うん!それまで元気でね」

「夏目さんも。じゃ」

と笑顔を見せると、歩いて行った。


「ありがとう…平野くん」


小さくなる背中にお礼の気持ちをこめた。

平野くんの存在がどれだけ大きかったか。