8月25日(後編)

ここは同情で貰うべき?


いや、でも…!

わたしが貰うわけにはいかない。


だって、平野くんには…

「奈々ちゃんはいいの?」

奈々ちゃんという彼女がいる。


だから、わたしが貰うわけには絶対いかない。


「ップ。誰が俺の第二ボタンって言った?残念だけど、俺の第二ボタンは奈々のだから」

と笑う平野くんにムッとする。

最後の最後までこれだもん。


「手出して?」


そう言った平野くんの声が優しくて、思わず手を出してしまうわたしは単純すぎる。

「どうぞ」

と手の平に置かれたボタンに視線を落とす。


「っ……これ…」

あ〜もうわかってしまった。

これが誰の第二ボタンなのか…

「うん、慧の第二ボタン。無理矢理でも渡してほしいって頼まれてた」

「……」