8月25日(後編)

慧くんはそう言うと視線をあげ絡めてきた。


向こうの大学って、外国の大学のことだよね。

…そっか…やっぱりか。

「紗良ちゃんはどう思う?」

って、そんな質問はズルい。


だって…


「わたしは大丈夫だから、慧くんの進みたい道を選んだら?」

気持ちに嘘つかないといけなくなる。

思ってもいないことを言わないといけなくなる。


だから、わたしにそんな質問はズルい。


「…俺、ずっと英語が好きだった。語学学校に通って留学するのが夢だったんだ。だから…」

そこまで言うと口を閉じ、息を飲む慧くんから視線をそらす。


「知ってた。平野くんから少し聞いてたから…」

「そうだったんだ?黙っててごめん」

「ううん。そんな前からの夢なら留学しないと」

「紗良ちゃん…」


やめて…

そんな表情を見せないで…。


泣かない…泣きたくない…。