8月25日(後編)

それから放課後はすぐにやってきた。

終礼が終わり、少し待つと慧くんが顔を覗かせた。


「お待たせ」

わたしを見つけるなり笑顔を見せてくれる。

そんな慧くんの笑顔をいつまでも見ていたい。

これからも見ていられるよね?…


「紗良ちゃん?元気ないけど、どうかした?」

校門を出たと同時に口を開いた慧くんに笑顔を向ける。

「ううん、何でもない」

「ほんと?ならいいんだけど」

と前を向く慧くんに胸が苦しくなる。


慧くんを信じて聞いてしまえばいいのに…

どうして聞く勇気がないんだろう。


…きっと、それは慧くんの考えが何となく想像ついているからなのかもしれない。

最近の慧くんの様子を見る限り、平野くんの冗談話しは冗談ではなさそうだから…


それを慧くんの口から聞くのを何より恐れている。


「あ、昨日ね、語学学校にケビンって言ってアメリカの子が入ってきたんだけど、とにかくその子が早口でさ?何言ってんのか聞き取れないわけ」