8月25日(後編)

…遅かった…。

見て見ぬ振りして帰ればよかった。

速攻で後悔が襲う。


「紗良ちゃん…?」

と再び名前を呼ぶ慧くんにゆっくり顔をあげる。

いつの間にかそばまで来ていた慧くんは、わたしの前に立つと視線を絡めてきた。


「どこで何してたの?それ…何?」

慧くんの視線は一瞬だけぬいぐるみに落ちると、すぐに戻ってくる。

「……」

「なんで何も言わないの?一緒に帰る約束してたのになんで先に帰ったの?」

「…それは……っ」


言えないよ…

告白の現場を盗み見して聞いていました、なんて…

口が裂けても言えない。


だから、わたしが慧くんを責めることなんてできないんだ。


だから「ま、待ちくたびれたから…」とか言って誤魔化してみる。