8月25日(後編)

そう言うと悲しそうな表情をしていた。


さっきから彼は、何に懐かしみ、何に悲しんでいるんだろう?…

「あの…妹さんって…」

「2年前に交通事故で亡くなってる」

「あ…ごめんなさい」


そっか…だからか…

それは聞いちゃダメだったよね。


「気にしないで?もうすぐ命日だったから、何かいいものないかな〜?って見に来てたところなんだ」

彼はUFOキャッチャーの中に眠る、ぬいぐるみたちに視線を向ける。


妹さん思いなんだな…

彼は見るからに人が良さそうだし、よく見ると着ている制服は名門校だ。

ってことは頭もいいんだろう。


「じゃ、俺はもう少し見て回るよ。勝手に話しかけてごめんね」

「あ、いえ。あの、これ…ほんとにありがとうございました」


ぬいぐるみを突き出しながらお礼を言うと、ふんわり微笑んで歩いて行った。

この複雑な気持ちはなんだろう…?

身近な人を失ったことがないから、彼の苦しみや悲しみをわかってあげられなかった。


だから、かける言葉も見つからなかった。