8月25日(後編)

「……慧くん…」


ともう一度呼んでみる。

「なんか新鮮だね!嬉しい」

照れたように笑う水樹くんが愛おしい。


そんな時はハグを……

でも、さすがにここでハグするのは難しい。


周りに人がわんさかいるし、その視線を集めるなんて恐ろしすぎる。


「そろそろ戻ろっか。結構いい時間だし」

と歩き出す水樹くん……いや、慧くんの背中を追う。

「今日は楽しかったな〜。紗良ちゃんのクラゲ好きも知れたし、名前で呼んでもらえたし」


バスに乗ると微笑みながらそう言った水樹くんの隣で照れる。

ほんと、今日は楽しかった。

この数時間だけは修学旅行ということを忘れることができた。


だから、明日帰ると思うと寂しいや。

「その指輪、やっぱり似合ってる」

とわたしの右手の薬指に視線が落ちている水樹くん。


「指輪つけたのこれが初めて」