「与田くん、またね」

と言い残し、平野くんの元へと近寄る。

「晴人と何かあった?」

昇降口を出たタイミングで平野くんが口を開いた。


「…ううん…あの、与田くんの彼女さんってこの学校の人?」


千波に見せてもらった彼女さんをわたしは見たことがなかったから、てっきり他校の子だと思ってたんだけど…?

「そうだよ?1年だから夏目さんは知らないと思う」

「そうなんだ」


それは知らないはずだ。

それにしても与田くん、何を言いかけたんだろう?

すごく苦しそうだったな…大丈夫かな。


与田くんのさっきの表情が忘れられなかった。

「じゃ、また明日!」

校門で平野くんとは別れた。


未だにヒリヒリと痛む頬を抑えながら家路につく。


今日は災難だったな。

やっとテストから解放されたと気持ちが弾んでいた矢先のこと…