「建物巡りだけじゃつまらないだろう。今日の目的はこっちだ」

 進藤さんにさりげなく手を繋がれた。今までとは違い、指を絡ませた恋人繋ぎだ。密着度の高さに、頬が上気する。

 触れ合う肌の感覚にドキドキしていると、進藤さんがある看板を指さした。

「謎解きゲーム?」

 看板の奥にある案内所には、これまた人の列が。

「園内各所にちりばめられた謎を解くんだ」

「へえ、面白そうですね」

 案内所では謎解きキットなるものを売っている。謎が書かれた冊子と付録、鉛筆のセットだ。

 小学生に挑戦できるものから、大人でも難しいコースまで選べるらしい。

「やっぱり初心者向けですかね?」

 若葉マークがついた『初めての方におすすめ』というコースを指さすと、進藤さんは首を横に振った。

「もう少し難易度を上げよう」

「大丈夫かな……」

 自慢じゃないけど、私はこういうひらめき系、あまり得意じゃない。学生のときからなんでも真面目に考える癖があるせいか、頭が柔軟じゃないのだ。

「大丈夫さ。いざとなれば、ネタバレしているブログを見ればいい」

「ズルじゃないですか」