オペの介助をするのだから、そのプレッシャーは半端じゃないだろう。

 即座に反応し的確な動きをしなくてはならないから、判断力もいる。常に緊張状態。

 いや、それはわかる。わかるのよ。でもさ、だからって病棟看護師にケンカ売ってくることなくない? もしかして、本当に進藤さんのことが好きだから、一緒にオペ室に来た私を敵視しているの?

 あまりにも人でなしなセリフにびっくりして反論できないでいると、スレンダーな福田さんはスキニーデニムをすっきり穿き、壁際からこっちに近づいてきた。

「通れない。邪魔」

 私は咄嗟にロッカーに背中をつける。

 福田さんはお礼も言わず、つんとすました顔で目の前を通り抜けていった。

 な、なんだぁ~?

 機嫌が悪いのか知らないけど、どうしてそんなに攻撃的なの?

「へんな人ぉ……」

 もたもたと制服を脱ぎ、ゆったりしたTシャツワンピに着替えた私は、シニョンをほどく。ぺたんこの靴を履き、更衣室を後にしようと思い……思わず立ち止まった。

 四つ並んだ洗面台の上にある鏡に、自分の姿が映っている。