「見ろよ、あれ。めっちゃ食いそう」
どきりとした。多分、私の体形を見て言ったのだろう。
「彼氏、どうしてあれ選んだ? すげーイケメンじゃね? もっと選択肢あっただろ?」
悪意のこもった若い男の声が、胸に突き刺さる。
「やめなよ。好みは人それぞれじゃん」
と男の連れは言うけども、声の調子から笑いをこらえているのがわかる。
……ま、そうだよね。そう思いますよね。
進藤先生みたいなイケメンと、私みたいな平凡顔のぽちゃ子が婚約しているなんて、誰も思わないよね。
美女と野獣の笑えない逆バージョン。
「どうした? 食べないのか?」
遅れて戻ってきた進藤先生が、私の顔をのぞきこむ。
後ろからの悪意に打ちひしがれていた私は、ハッと顔を上げた。
「いいえっ、私すぐ食べ終わっちゃうから、先生を待ってたんです」
ムリに笑顔を作り、スプーンを持つ。
スイーツを目の前にしてこんなに心が浮き立たないの、初めてだ。
「食べ放題だから、気にしなくていいのに」
「いや、これひと皿でかなりボリュームありますよ。三皿が限界です」
「三皿はいけるんだ」
クスクスと笑う進藤先生。
私はやけくそで、上のアイスをすくって口に運んだ。



