「俺はそのままでもいいけど、君がそんなに気にするのであれば、なんとかしよう」
「なんとかって?」
「明日は休みなんだ。君もだろう? ゆっくり楽しもうじゃないか」
進藤先生はなにかを企んでいる顔で、ハンドルを切る。
私は、横で小さく……は体が大きくてなれないので、おとなしくしているしかできなかった。
二時間後。
「どうしてこんなことに」
薄暗い空間に、ぼんやりと灯るアンティークランプ。
窓から見えるのは港に浮かぶ船。ちょうどクルーズ船が帰ってくるところだ。ちかちかと点滅する明かりが近づいてくる。
「とてもきれいだよ」
正面に座る進藤先生が、にっこりと笑った。いたずら大成功といったような顔で。
あの後私は先生の知り合いがやっているというセレクトショップに連れていかれ、店員さんが選んだワンピースを着せられた。
あれよあれよという間に着替えが済み、試着室から出てきたときにはお会計が済んでいた。進藤先生のお財布から。
デコルテから肩、二の腕までシースルー素材で、胸から下はすとんとしたシフォンの黒色ワンピースは、太い二の腕や腿を隠してくれる。
足首にストラップがついた黒いハイヒールまで用意され、それを履いてお店を出る直前、店員さんに呼び止められた。



