ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました


 っていうか、そういうことなら先に言っておいてほしかった!

 更衣室で着替えた私は、言われた通りに駐車場へ来ていた。

 立体駐車場の二階までは患者さんオンリー、三階がドクター、四階から上が看護師その他の職種と、車を停められる場所は決められている。

 というわけで、高級車ばかりの三階でウロウロしている私はかなり場違い。知り合いに見つかると面倒なので、進藤先生の車の後ろにしゃがんでうずくまって隠れた。

「やっぱり今日は用事があることにしちゃおうかな。そんで、もう一回仕切り直して……」

 お互い仕事が忙しいので、連絡先を知りつつメッセージアプリを連携していても、電話をかけたり、メッセージのやりとりをすることが今までほとんどなかった。

 だからといって、食事のお誘いは前日までにしておいてよ。当日にならないと帰れるかどうかわからないけど、心の準備をしておきたかった。

 自分の格好を見て、ため息を吐く。

 黒いゆったりしたTシャツに、太めのデニム。足元はスニーカー。バッグはリュック。

 それぞれそこそこオシャレで流行っているアイテムを取り入れてはいるけど、駅まで歩くことを前提とした楽な格好だ。