ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました


「うん、大丈夫そうだな。主治医には俺が報告しておく」

 ミトンを装着する私の横で、担当看護師もうれしそうに進藤先生を見ていた。

「ありがとうございます、進藤先生」

 普段は不愛想でちょっと怖かった進藤先生のこういうところを見ると、ドキドキしちゃうよね。ギャップ萌えってやつ。

 でもなんだろう、これ。胸がモヤモヤする。焼き芋を三本食べちゃったときに似ている。

 他の女の人が進藤先生をキラキラした目で見るの、正直嫌だな。

 モヤモヤしながらナースステーションに戻り、電子カルテに今日の記録をする。

 もう午後四時か。ドクターからの新たな指示は特になし。内服薬のセットも申し送りも終わった。

 今日は珍しく定時で帰れそう。

 と思った瞬間、ナースコールが鳴った。やはり、そう簡単には帰れないか。

 重い腰を上げ、呼ばれた個室へ急ぐ。

 って、あれ? あの患者さんって、まだオペ後の安静時間内じゃなかったっけ。麻酔で眠っているはずだけど、どうやってナースコール押したんだろう。

「失礼します。佐々木さん、どうしました?」

 ドアの中にあるカーテンをよけた私は、驚いて足を止めてしまった。

 ベッドの上には、やっぱりぐうぐう寝ている患者さん。彼を見下ろすように、進藤先生が立っていた。