そうなのかも。誰かに言われるとつらいから、自分から言ってしまう。お互いに笑っていれば、深く傷つかなくて済むから。
「それにそういうの、結局周りに気を遣わせているんだ。わからないか?」
ズケズケと言い放たれる進藤先生の言葉にめった刺しにされる。
たしかに、たしかに。
私も女友達に「私なんてデブスだから~」と笑って言われたら、正直困る。「そんなことないよ」って、苦笑して返すしかできない。
それが続くと、その人といるのが面倒くさくなってくる。私、いつのまにかそんな人間になっていたのか。
「すみません」
どうして、笑わせればオッケーなんて思っていたんだろう。
私、本当にどうしようもないな……。
「謝る必要はない。君はじゅうぶん魅力的だ。笑いに見せかけた防御なんて、必要ない」
「先生……」
「君の明るい性格に救われている人は、たくさんいると思う。患者さんにも、同僚の看護師にも。ずっと自虐的なことを言っているわけじゃないだろ?」
赤信号で車が停まった瞬間、進藤先生に笑いかけられた。
今度は別の意味で、心臓を鷲掴みにされたような気がした。



