ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました


 うちの病院の遅番は、午後一時から深夜零時まで。日勤と夜勤の間を繋ぐ役目だ。

 病院のコンビニで、夕方に食べるパンをふたつ買ってから病棟に向かう。

 ちなみに、細い人は夕方にお弁当を食べ、帰宅後はなにも食べずに就寝する。しかし、私はお腹が空いていると切なくて眠れないので、必ず満腹になってからベッドに入る。

「おはようございます~」

 荷物を置くために休憩室に入ると、ちょうど後半休憩の看護師たちが食事をしているところだった。

 ああ、ひとが食べているものってどうしてこう美味しそうに見えるんだろう。

 こっちの子はたらこパスタ。こっちの子はグラタン。こっちは回鍋肉弁当か。ふむふむ。

 共用の冷蔵庫に飲み物を入れ、振り返ると、隅に座っている中尾主任の食べているものが目に入った。中尾主任は男性の看護師だ。

「中尾主任、なんですかそれ」

「ん? これ、プロテインシリアル。たんぱく質が摂れるよ」

 趣味で自転車のレースに出たりしている中尾主任は、五十歳目前だというのに、どこにもムダな肉がない。出勤も自転車、旅行も自転車、レースがない日もずっと自転車を漕いでいるらしい。

「美味しそうですね」