ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました


 昨日私が料理をもりもり食べ始めたときにはドン引きしていたおばさんが、めっちゃ持ち上げてくる。

 居心地の悪さを感じ、「へへっ」と愛想笑いを返すしかできなかった。

『とにかくこれで、うちのクリニックは安泰よ。佑さんのお母さんにお礼を言われちゃったわ。うちの茉莉にも見習ってほしいものよ。あの子ったら、本当に親不孝な……』

 そこから、駆け落ちした茉莉ちゃんに対する愚痴が十分続いた。私は適当に相槌を打った後、話題を変える。

「ところで、進藤先生のご両親は本当に私でいいんでしょうか?」

 うちの実家は本当にごく普通のサラリーマン家庭で、お母さんはパート主婦。

 進藤家とは不釣り合いだけど、ご両親は気にしないのかな?

『ご両親は、跡継ぎをお望みなのよ。千紗ちゃんは丈夫そうで、元気な赤ちゃんをバンバン産んでくれそうだって、喜んでいたわ』

「きっつ……」

 おおっと、そういうことか。早く孫の顔を見せて安心させてくれってやつね。

 すでに肝っ玉母ちゃんの風格が、私の体格からにじみ出てしまっていたか。

 進藤先生の実家は、古くからある大病院だものね。ご両親が先祖代々、直系の子に継がせたいという思いを持っているなら、それについては否定するまい。