ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました


 次の日。

「んん……ふわぁ、どうしたの~?」

 ぐっすり眠っていた私は、けたたましい着信音にたたき起こされた。

 今日は遅番だから、昼近くまで寝ていようと思ったのに。

 のっそりと起き上がって電話に出る。

「はーい」

『あっ千紗ちゃん? 昨日はありがとうね』

 おばさんの声が聞こえてきて、ベッドの上で背筋を伸ばす。

 時計を見ると、午前九時。一般人は活動を始めている時間だ。

『佑さん、千紗ちゃんのこととっても気に入ったみたいで、早速婚約することになったそうじゃない』

「はあ」

 あまりに夢のような出来事だったので、寝て起きたら覚めるものだと思っていた。

 うーん、やっぱり夢じゃなかったのか。現実味がなさすぎて、まだ実感が湧かない。

『今までどんなにお金持ちで美人な令嬢を紹介されても、首を縦に振らなかった佑さんに選ばれたのよ。これはすごいことよ』

「デブ専だったってだけの話じゃないですか?」

 あんなにすごい実家を持った佑さんに、美人以外を会わせる勇気は、私が仲人だったらない。

『千紗ちゃんはおデブじゃないわ! ぽっちゃりよ。ぽっちゃりモデルさんとかいるでしょ。SNSフォロワー二十万人、みたいな!』