ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました


「本気なわけないでしょ。ただの気まぐれだよ。やめておきなさい」と言う自分と、「内面を評価してくれる人なんてそうそういないよ。受け入れるべき」と言う自分が頭の中でせめぎ合う。

 いやいや、やっぱり本当の自分を知らせておくべきだ。

 私になにかの幻想を抱いているなら、今後がっかりされることもあるだろう。

 ただのお付き合いならまだしも、婚約は簡単に破棄できない。

「私はそんなにいい人じゃありません。素直でも優しくもない、普通の人間です。そして、自分で食べる量をセーブしたり、運動したりできない意志の弱い人間です」

 率直に自分の至らない点を強調しておく。この体形を見てよ。原研修医に言われたように、私は痩せようという意志が持てない弱い人間なんだ。

 痩せた方が健康にいいことも、いじられないこともわかっているのに。

 仕事が忙しいから、疲れているから、と言い訳ばかりしてなにもできていない。

「別に、痩せていようが太っていようが、かまわない。それに、後輩が絡まれたときに自分を盾にして守る。それができる人間の意志が弱いとは、俺は思わない」