「あの、今日は従妹がご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「気にするな。俺の両親が見合いに病的なまでに固執していて、逆にこちらがおじさんとおばさんを困らせたな」
そう言ってもらえて安堵する。これで茉莉ちゃんの非礼は水に流してくれそう。おじさんたちもホッとすることだろう。
「でもまさか、君が現れるとは思わなかった」
料理をもりもり食べる私を思い出したのか、進藤先生は喉を鳴らして小さく笑った。
「私も、先生にお会いするとは思いもしませんでした」
急な代役お見合いだったので、相手の情報を仕入れる余裕がなかったのだ。
「あのう、どうしてご両親は繰り返しお見合いをセッティングするのでしょう? 先生が結婚したがっているとは思えないのですけど」
「その通り。俺は仕事にしか興味がない」
きっぱりと言われ、さらに疑問が湧く。
「じゃあなぜ、私とこうしてふたりっきりに……あ、もしかして気を遣ってくださったんですか? おじさんたちを助けるために」
そもそも茉莉ちゃんがご両親の機嫌を損ねているのに、私が食欲全開で挑んで引かれた。そのことを気にしてくれたのかな。



