ひとりじゃ味を感じられなくなったかもしれない。でも、今は進藤さんが一緒にいる。
「ああ、美味しいものって一瞬で人を幸せにできますよね。ほんと、すごいです」
「はは。俺には千紗の方が、よっぽどすごく感じるよ」
「え? どこがですか?」
さっきの無表情な進藤さんとは別人のように、柔らかく微笑む。
「美味しい料理より、俺を幸せにしてくれるから」
濁っていた空気が瞬く間に消し飛んでいくような気がした。
私より、進藤さんの方がすごい。たったひと言で、私をこんなにも満たされた気分にしてくれるんだもの。
彼の笑顔につられるように私も微笑んだ。



