店員さんは決然と言い放った。これが高級ホテルの風格なんだろうか。
「あのう、静かにしてくれるなら、追い出さなくてもいいんじゃないでしょうか……」
ここまで来てなにも食べられずに帰されるのは、あまりに気の毒だ。
進藤さんは私を見て、ふっと表情を和らげた。
「マネージャー、彼女がいいと言うなら俺はかまいません」
「進藤様……わかりました。どうぞこちらへ」
店員さんは研修医たちをよそに、私たちを先に個室へ誘導する。
もしかして、この店は進藤家がよく利用しているのかもしれない。
わけのわからない客より、常連を大切にするということか。
ペコペコしながら個室へ向かっていると、後ろから声が聞こえた。
「こんなところやめて違うところに行こう」
「お高くとまって、嫌な感じ!」
研修医と看護師たちの負け惜しみが聞こえる。そういうことを大きな声で言うから出禁になっちゃうんだってば。
ハラハラしつつ席に着き、静かになったところで食事を再開する。
「なんか……こう……びっくりしましたね」
「嫌なやつらだ。あんなやつらに大事な患者を任せなきゃならないと思うと、ぞっとする」
吐き捨てた進藤さんは、お酒をぐいっと飲みほした。



