一瞬、場が静まり返る。
そろそろと顔を上げると、進藤さんがまるで汚いものを見るような目で原研修医たちをにらみつけていた。
「うるさい」
たったひと言で、研修医たちは縮みあがる。
「俺とこの人は付き合っているんじゃない。婚約しているんだ」
はっきりと述べられた言葉に、彼らは唖然とした。
「お客様、なにかございましたか」
フロアマネージャーの名札を付けた店員さんが近寄ってきて、進藤さんに聞いた。
「申し訳ありませんが、個室が空いていたらそちらを貸していただけないでしょうか」
「もちろん、ご用意いたします」
店員さんはふたつ返事で恭しく礼をした。そして研修医たちに向き直る。
「申し訳ございませんが、お帰りください」
「えっ」
「そもそもご予約なしでのご案内はしておりません。お客様がどうしてもとおっしゃるのでお通ししましたが、他のお客様にご迷惑をおかけするわけには参りません」
「えー、そんなの今さら。静かにしますからぁ」
今まで笑って見ているだけだった看護師たちの顔色が変わった。
「いいえ、入口にも書いてあります通り、大声を出されたり、他のお客様のご迷惑になるような方はお断りしております」



