そうか……夜勤明けの日はぐっすり寝て、すっぴんのまま出迎えてしまうことが多いけど、これからはもう少し気を遣おう。進藤さんは、「ムリして化粧する必要ないよ」って、言ってくれるだろうけど。
「さあ、行こうか」
進藤さんだって仕事の後で疲れているはずなのに、そんな様子は見せない。
通勤用のシャツにジャケットを羽織っただけでサマになるのだから、イケメンってすごいなと思う。世の中不公平だわ。
「駐車場から電話をかけてくれれば、そっちまで行ったのに」
わざわざ玄関まで呼びにきてくれるなんて。
お出かけ用のパンプスを履く私に、進藤さんは自然に手を差し伸べる。
遠慮なく彼に寄りかかって靴を履く。こんな私の体重がかかっても、彼はよろけることがなかった。
「俺だって、たまには奥さんに喜んでほしいからね。あ、まだ婚約者だったか」
私の胸もとに、彼がくれたネックレスが光っているのを見つけたのか、ますます目を細める進藤さん。
ダイヤより彼の笑顔の方を眩しく感じるのは、私だけかな。
紳士な婚約者にエスコートされ、私は部屋を出た。



