昨日、貧血でふらふらしていた私は、あの後ずっとベッドに横になっていた。
進藤さんが買ってきてくれた鉄分たっぷりのジュースを飲み、進藤さんが作ってくれた鉄分強化&バランスのいい食事を食べてぐうぐう寝たら、すっかり元気になったのだ。
毎日他人に尽くしてばかりだったので、逆に尽くされるのは涙が出るくらいうれしかった。
「よかったです。最近千紗さん痩せちゃったので、みんな心配してたんですよ。ストレスでご飯が食べられなくなっちゃったんじゃないかって」
「あはは。大丈夫、大丈夫。ストレスなんてないよ」
原研修医や福田さんに意地悪を言われたときはへこんだけど、毎日忙しくて気にしているどころではない。
「そんなわけないですよ。この仕事、ストレスしかないですもん」
藤井さんはかわいい顔にシワを寄せてため息を吐いた。
「そうだね。今度、ご飯行こう。いつでも話聞くからね」
看護師の仕事にストレスはつきものだ。患者もその家族も年々モンスター化しているし、年数を重ねるごとにやることも増えていく。
なにより、他人の命を預かっているという責任感が重く、知らず知らずのうちに心が蝕まれるのかもしれない。



