「そう難しく考えなくていい」
知らずに渋面を作っていたのか、進藤さんにのぞきこまれ、眉間を指でなぞられた。
「適度な運動なら、俺が手伝ってやれる」
含みのある笑顔を見せる進藤さん。
「あ、この前言ってたジムですか?」
他人がたくさんいるところで運動するの、嫌だなあ。プロに指導してもらった方が確実なのはわかるんだけど。
「いや、このベッドの上で。気持ちよくて運動になることだよ」
鈍い私でも、やっと意味がわかった。その瞬間、ふわっと視界が揺らぐ。
「もちろん、今日はよそう。鉄分のあるものを買ってくるから、ゆっくり休んでいなさい」
進藤さんは私をベッドに優しく横たえた。
ドキドキしているのか、貧血で気持ちが悪くなっているだけか、もうよくわからない。
買い物に行く進藤さんを見送り、私はそっと目を閉じた。



