承諾を得た進藤さんの動きは迅速だった。私は顔合わせの数日後、彼のマンションに居を移すことになった。
どうしても必要なものだけを先に運び込み、それ以外のものはひとまずアパートに置いておき、順番にゆっくり運ぶことにした。
「うわあ……」
やっぱり。という感想が、一番初めに浮かんだ。
初めて踏み入った進藤さんの住まいは、交通の便がいい土地に堂々とそびえ立つタワーマンションだった。広々としたリビングには、壁掛けの大きなテレビ。五人くらい座れそうなソファに、カウンターキッチン。都内の夜景を見下ろせるベランダ。ウォークインクローゼットや書斎まである。窓の外の景色が見える浴室には、円形のバスタブ。まるでモデルハウスのよう。
「ここが物置。で、こっちが寝室」
進藤さんに案内されて入った寝室には、なんとキングサイズのベッドが置かれていた。
これって、まさか……。
「大きなベッドで寝ているんですね」
「いや、ふたり用に買い替えた」
やっぱり! 添い寝用だった!
「私が幅とっちゃいますけど、大丈夫ですか?」



