おかしい
目が覚めないし、視野の下に選択肢も出ないし、BGMすら流れてない

まぁ、目が覚めないのはともかく選択肢が出ないのは私がモブだからだろーな…


モブの中のモブに俺はなる


何とか隠れながら指定されたクラスにたどり着くことに成功

っしゃ、これからボス戦(自己紹介などを指します)か…
夢とはいえ気合い入れないと!


「わっ!」

「ッ?!」

背後から大きな声をかけられた
驚きで体が少し飛び、硬直した

「猫みたいですね」

割と新しい記憶にある聞き覚えのある声…

後ろを振り返ると舞台俳優さんがおかしそうに笑っていた


「やっぱり同じ学校だと思ったんですよ。まさか同じ学年とは……」

「そ、そうですね」

「あ、これ朝落として行ったヘッドホン」

「え?!嘘っ……あ、ありがとうございます」

つまずいた時にレコーダーから栓が抜けたのかな?逃げるのに必死で存在忘れてた……

声優さんの声ほどではないが、頭の中に残るような声質をしていた彼はきっと声だけで、人を落とすことが出来る才能を持っているのだろう……

まぁどっちちせよ私が関わるような人じゃないかな

ガタッ……

……え?はい?!

「あ、なんか隣の席だった。俺、橘 晃輝。よろしくね」

「あ、はい…よろしくお願いします」

あれ、敬語がいつの前にか無くなってる…陽キャ怖い距離詰めるのはやすぎッ!

私じゃなきゃ追いつけないね

「……」

しばらくの沈黙

戸惑う橘さんは意を決したように口を開いた

「名前、聞いてもいい?」

「あ、えっと…う、海原詩乃、です」

名乗るのを待ってたって訳?やばいこういう自己紹介しなすぎて待っちゃったじゃん!

「海原さんね!朝はごめんね」

「あ、いえ、命を救っていただきありがとうございます」

「命って‪‪w、大袈裟だなぁ海原さんは‪w‪w‪w」

そんなに大袈裟だったかな?めちゃくちゃウケてる……めーっちゃ笑うじゃん

しかし隣の席のはいえ何故こんな私に声をかけてきたんだろ……?
ルックスがいいからほかの女子に話しかければ1発で落ちるだろうに

慈悲深い寮出身とかなのかな?


「海原さん、良かったら連絡先」

「あのすみませんどこ中学でした?」

まぁそうなるよね…

案の定こんなイケメンをほっとくわけがなく、私と話していたことがなかったかのように女子3人組が彼に話しかけに来た。

よし、ナイス!空気にでもなりますか

欠伸をして大きく伸びをした

まだ眠い……