私の名前は海原 詩乃(うなばら しの)
ポケモンマス……じゃなくて
家族の影響で漫画やアニメ、舞台、声優にどハマりしてしまったオタクと言われて1番に思い浮かべるタイプのオタクです
「ぁぁぁ…ガッコウイキタクナイ…」
「だーめ
詩乃が好きで受験したところでしょ?」
朝ごはんを食べながら不満をこぼすとひとつ上の姉が諭してくる
「そーだけど、そうじゃないよっ……」
「高校なんて行ってみたら楽しいもんよ」
「アニメみたいにはいかないじゃんっ!」
「当たり前でしょ…
あんたおかしくなっちゃったの?」
「うぅ…」
机に顔を突っ伏し全力で学校行きたくないオーラを醸し出すと後ろから急に体重がかかった。
「ぐはっ…」
「許してあげてよ陽葵ねーちゃん!
詩乃ねーちゃんはオタク隠すために推しのストラップ1個も持っていけないのが精神的にきてるんだよ♪」
中学1年のお調子者で憎たらしい弟の悠介が、後ろからかぶさってきていた。
「……これまで、か」
「あ、死んだ」
「殺すな殺すな、ゆうどいてあげて」
「はーい」
素直に陽葵姉ちゃんの言うことを聞いて背中から重みが無くなった
思春期男子にしては素直すぎるぐらい素直だと思う。あぁ、馬鹿だからか
「そんなにテンション下がるならもういっそ隠さないで普通にストラップとかも付けて行ったら?」
「それはやだ!」
「なんでよ」
「今でこそ緩和されたけどまだアニメオタクの風当たりは強いんだよ?そもそもパンピーの考えとして(かくかくしかじか)」(早口)
「あーうん、とりあえずわかった」
中断された、聞いてきたの姉ちゃんなのに
朝食を持ってきた弟がなにか閃いたように目を輝かせた。
やな予感がする……
「俺がちゅーしてあげたらがんばれるんじゃね?」
「「何言ってんの!?」」
「えー、めっちゃハモるじゃん……」
前から馬鹿だとは思ってたけどやっぱり馬鹿だ、家の弟は!
一瞬で鳥肌が立ってその場にとどまっていられなくなった。
「まぁ初日なんだし行ってきなよしーちゃん」
弟が何も言えないように口にパンを押し込んだ姉ちゃんが微笑んでそう答えた。
この姉ちゃんやりおる……我が姉ながら
そんな姐さんの言う通り行ってみたら楽しいかもしれない…!
若干のウキウキ感を持ちながら、でもやっぱりストラップを持っていけないことにショックを感じつつ家を出かけた