「俺、就職決まったんだ」

バイト中の輪王 靭(りんのう じん)。

靭ジンは近くのファミリーレストランのキッチンをしていた。

今はバイトの休憩中です。

隣人は土岐 尚人(とき なおと)。

尚ナオに言えなくて悩んでいる靭ジンは大学生だ。

「やったじゃん」

仲間の香さん。

同じファミレスで働いていた香カオ。

香カオはホールスタッフをしていた。

靭ジンの就職決定に喜ぶ香カオ。

「でも…」

「元気ないよね、どうして?」

喜ばしい報告。

けれど元気のない靭ジン。

「…あの家を出て行くんだ」

「え?引越しするの?」

こくりとうなずく靭ジン。

「尚には?言ったの??」

首をふる。

「せっかく友だちになれたのにね。
 あいつ、変人だから。
 なかなか友だちできなくってさ。
 靭がいていつも楽しそうだった」

まるで弟のことを語る姉のように言う香カオ。

「そう言われてしまうと…。
 尚に直で言えなくなってしまう」