その目を見ると本当に食べられてしまうのでは、そう錯覚する。

「綺麗だよ」
「…不破、さん…」
「今は柊と呼べ。何度言わせるんだよ」

ごめんなさい、そう小さく呟くと同時にまた唇が塞がれる。そのまま、柊の手がバスローブの紐を外して前面を開けると露になる上半身に一瞬手を止めた。
それがどうしてなのか不明だが、日ごろから何の気も使っていない体に幻滅されたのでは、と心配になった。
しかしすぐに柊が顔を近づけ耳たぶを軽く甘噛みすると言った。

「優しくはする。…つもりだが、無理だったらごめん」
「…へ」

他人と距離を取り他人の気持ちを慮ることを放棄してきた人生を後悔した。彼の発する一つ一つを理解したい。それほどまで彼に惹かれている。
激しくキスをされて、ついに彼の上半身が直接琴葉の体と接触し、この時には正常な思考は持ち合わせていない。
何も考えられず、柊に身を任せた。

首筋に這う舌が温かくて気持ちがいい。時折チクリ、痛みが走るが琴葉はその意味を知らない。
首から徐々に降りていく舌が胸元に到着すると琴葉はより一層大きな声を出す。
「…っあぁ、…はぁ、…柊、さんっ…」

それでも動きを止めることはなかった。