なんだか久しぶりに会った気がして、感極まって抱き着いてしまった。 『あら、どうしたの花音?お母さんが恋しくなる時期は、とっくに過ぎてるはずだけれど・・・・』 おっとりと話す母は、やはり社長婦人には見えない。 「ううん、どうしてここにいるの?」 『え?ずっとここにいたわよ?』 そうだろうか? 考えていると、母に耳元で囁かれた。 『あなたがあの執事さんに見とれてる間に来たのよ?』 ポッ、と頬が赤くなるのが自分でもわかった。 .