触れないで、杏里先輩!

「お母さん、ただいま」

鏡と暫く会話した後、リビングに入り、お母さんに声を掛ける。


「おかえーー……美桜なの!?」

お母さんは前髪に相当驚いたようで私を二度見した。

母親にまで驚かれた。
まぁ三年あった前髪が突然無くなったんだもの。
本人ですら衝撃なのに、驚かないわけ無いわよね。

「アンリちゃんって、覚えてる?私が四歳の時に公園でよく遊んでた男の子」

「アンリちゃんって……あ!あの金髪の外国人の男の子?」

少し頬に人差し指を当てた母はすぐにハッとして口にした。
十年以上前のことだが、杏里先輩の容姿が特徴的だから覚えていたようだ。

「そうそう、その子」

「でもそのアンリちゃんがどうしたの?」

「同じ高校に居たの」