触れないで、杏里先輩!

「気を付けて帰って。家に帰ったら連絡するの忘れないでね」

「ありがとうございました!連絡します!」


私は何度も杏里先輩に頭を下げた。
杏里先輩は私の姿が見えなくなるまで、改札口で見送ってくれた。

電車はやっぱり怖くて、一番端の席に座り、横にバリケードのように鞄を置いて座った。

すぐに亜季ちゃんに『杏里先輩と帰っちゃってごめんね。』とメールを打つと、『お幸せに!』と意味不明な文が返ってきて、『そんなんじゃないから。』と返した。




家に着くと約束通り、杏里先輩にすぐにメールした。


『おかえり。やっぱり家遠いね。あとちゃんと鏡見なよ?』


杏里先輩からの最後の文を読んだ私は、慌てて洗面所に猛ダッシュ。

無くなった防護壁がショックすぎて、まだ前髪をじっくり見ていないのだ。