触れないで、杏里先輩!

次の瞬間、何故か空気がピリッとした気がした。
私は二人を交互に見る。


「俺は美桜のボディーガードだから」

「へぇ~」


大きな北川君にひけをとらない杏里先輩。

そんな二人の笑顔のやり取りが、何故かハラハラするのは、気のせい……?

私は未だに交互に二人を見ている。


「美桜、帰るよ」

すると突然、クルリと顔を私に向けた杏里先輩が言う。


「え?え?」

笑顔だが、突然投げ掛けられた言葉に私は戸惑う。

だって帰るって、どういうこと?

「鞄、これね?」

杏里先輩はそんな戸惑う私を気に留める様子もなく、机の横に掛けてある私の鞄を掴み取る。