皆がキャーキャー騒ぐワケが分かった。
間近で見ると、存在感が凄すぎる。
さっき微笑んだ時、顔が綺麗すぎて心臓がドキって跳ねたもん。

先輩が別世界の人間だと私は再認識した。

「あ、でもこの学校に俺を知らない人なんて居ないよね」

私が答えないでいたら、また先輩が勝手に笑顔で喋り出した。

確かに事実だが、なんて図々しい人。
謙遜という言葉を知らなさそう。

「……あの、何か?」

私は眉を寄せながら漸く口を開く。
だって杏里先輩が、何で別世界の住人の私なんかに話し掛けてくるのか知りたくなった。

すると目の前の杏里先輩は目尻を下げた。

ふわりと雰囲気が柔らかなった気がした。


「俺と付き合わない?」






「……は?」