触れないで、杏里先輩!

あの、あまり、じっと見ないで……。

その視線も困る……




「君、美桜に何か用?」


穏やかではない後ろから聞こえた低い声に慌てて顔を向けると、何故か私の教室に杏里先輩が居た。
しかも目を細めて、何故か不穏そうな顔つきの杏里先輩。


「北川君は、私が困っていたところを助けてくれたの!」

私が慌てて言うと、

「あ、そうだったのか」

落ち着いた顔に戻って私に顔を向けた杏里先輩。

「ありがとう、北川君」

そして北川君にお礼を言う杏里先輩。

「何で先輩が俺にお礼を言うんですか?」

それに笑顔で返す北川君。