「おかえり、美桜!どうだった!?」
杏里先輩と別れて教室に戻る途中、廊下の教室の扉の前で立っていた亜季ちゃんが私に物凄い剣幕で訊ねてきた。
もしかして私を心配して廊下で待っていてくれたのかもしれない。
そんな亜季ちゃんの優しさに、じーん。
「杏里先輩はね、四歳から一年くらい私と遊んだことがあったから知ってたの。昔の私と違いすぎて心配になって声を掛けてくれたんだ」
「え!?そうなの!?でも再会したのも凄すぎる!」
亜季ちゃんも驚いている。
だよね、私も思うよ。
「ちょっとずつ男の人に慣れるために助けてもらうことにした」
「そっか!確かに倒れちゃうのは大変だ!うん、それが良い!でもどうやって克服するの?」
「私に杏里先輩が少しずつ触れていって治していこうって。今日は私の髪に触れたの」
「髪に触れただけ!?」
そんな簡単なことと呆れたような顔をした亜季ちゃんに私は目を細める。
「私は崖から飛び降りるくらいの覚悟だったのに」



