「それなのに別人になってるし、話しかけたら俺を真っ直ぐ見ないし、瞳も身体も震わせていたから何か抱えていると思った」

「じゃあ最初に言ってくれれば!」

「だって俺だけ覚えてるの癪じゃん。だから気を引いてればそのうち思い出してくれるかなって様子見てたけど、全然思い出してくれないし、二回も気絶されちゃうし」

そう言いながら唇を尖らせる杏里先輩。

だから突然付き合ってなんて突拍子もないことを言ったのか。

「だって見た目違いすぎるし!」

「美桜に言われたくないよ」

プッと噴き出して返された。

「本当に地味子で居たいの?本当は昔みたいにオシャレしたいんじゃない?」

「……」

「俺は適任だと思うよ?だって美桜、震えも止まったし、俺の目をちゃんと見られるようになったし、二人きりでも普通に喋れるようになってる」